旋盤での中ぐり加工に最適なバイト選びと精度向上のポイント

旋盤での中ぐり加工に最適なバイト選びと精度向上のポイント

旋盤による中ぐり加工は、穴内部の直径を精密に仕上げる重要な工程です。中ぐり加工で使用する「バイト」の選定は、加工精度や表面粗さに直結します。材質や形状、刃先角度によって加工結果が大きく変わるため、適切なバイト選びが求められます。本記事では、旋盤中ぐり加工に適したバイトの種類、選び方、加工時の注意点を詳しく解説します。

中ぐり加工とは何か

中ぐり加工は、旋盤を用いて既存の穴を拡大・整形する加工方法です。ドリルで開けた穴を、より精密に仕上げたい場合に用いられます。特に内径の精度が求められる場合には、中ぐり加工が不可欠です。旋盤での中ぐり加工は、工具(バイト)の刃先角度や送り速度、回転数などによって精度が左右されます。また、材質に応じた加工条件の設定も必要です。

中ぐり加工の目的

中ぐり加工の主な目的は、穴の寸法精度向上、真円度の確保、表面粗さの改善です。ドリルで開けた穴は一般的に表面が荒れており、寸法も若干大きさが不揃いです。中ぐり加工を施すことで、設計通りの直径に仕上げ、機械部品同士の組み付け精度を高めることができます。

中ぐり加工で使用するバイトの種類

中ぐり加工では、刃物の形状や材質によって精度や効率が大きく変わります。適切なバイトを選ぶことは、加工品質を左右する重要なポイントです。

旋削用バイトの形状

中ぐり加工に適したバイトは、先端が尖っている「ラジアスバイト」や「Tバイト」が一般的です。ラジアスバイトは穴内での振れを抑え、滑らかな加工面を実現できます。Tバイトは深穴加工に適しており、刃先の保持力が強いため精度が安定します。刃先角度は一般的に55〜60°が推奨されます。

バイト材質とコーティング

中ぐり加工用のバイト材質には、超硬合金(WC)や高速度鋼(HSS)が使用されます。硬い材料を加工する場合は超硬合金を選ぶと工具寿命が延び、軟らかい材料ではHSSでも十分です。また、TiNやTiAlNコーティングを施すことで摩耗を抑え、表面粗さを改善する効果があります。

中ぐり加工時の注意点と加工条件

中ぐり加工では、切削条件を適切に設定することで加工精度と工具寿命を両立できます。切削速度、送り速度、切り込み量の調整が重要です。

切削速度と送り速度の目安

切削速度は材料の種類に応じて設定します。軟鋼では60〜100m/min、ステンレス鋼では30〜50m/min程度が目安です。送り速度は刃物の形状や穴径に応じて0.05〜0.2mm/rev程度に調整します。速度が速すぎると表面粗さが悪化し、遅すぎると加工時間が長くなります。

切り込み量の調整

中ぐり加工は穴内で刃物が制限されるため、切り込み量は浅めに設定することが一般的です。0.1〜0.3mm/回程度に段階的に削ることで、工具負荷を分散させ、穴径精度を保つことができます。深切削を避けることで、振れや刃物折損を防ぎます。

精度向上のための実践テクニック

中ぐり加工で高精度を実現するには、刃物の管理、段取り、潤滑の適正化なども重要です。以下に具体的なポイントを整理します。

刃物の摩耗管理

刃物の摩耗は穴径精度に直結します。切削中に振れや表面荒れが発生した場合は、即座に刃先を確認し、摩耗が進んでいる場合は交換または再研磨を行います。特に超硬バイトでは摩耗が進むと割れや欠けのリスクがあるため注意が必要です。

段取りと加工順序

中ぐり加工は荒取りから仕上げまで段階的に行うことが望ましいです。荒取りで大まかな寸法まで削り、仕上げ切削で微細な切り込みを行うことで、真円度と表面粗さを向上させることができます。また、加工中は切削油を適切に供給し、摩擦熱を抑えることも重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1: 中ぐり加工に最適なバイトはどれですか?

中ぐり加工には、ラジアスバイトやTバイトが適しています。ラジアスバイトは穴内での振れを抑え、滑らかな加工面を実現できます。Tバイトは深穴加工に向いており、刃先の保持力が高く安定した加工が可能です。材質は超硬合金やHSSが一般的で、加工材質に応じて選択します。

Q2: 切削条件はどのように設定すればよいですか?

切削速度は材料に応じて設定します。軟鋼で60〜100m/min、ステンレス鋼で30〜50m/minが目安です。送り速度は0.05〜0.2mm/rev程度に設定し、切り込み量は0.1〜0.3mm/回を目安に段階的に加工します。潤滑油を適切に供給することで、摩擦熱を抑え工具寿命を延ばせます。

Q3: 表面粗さを改善するコツはありますか?

表面粗さ改善には、段階的切削と仕上げバイトの使用が効果的です。荒取りで大まかな穴径に整え、仕上げ切削で微細な切込みを行います。また、刃先の摩耗管理、切削油の適正供給、回転速度の調整も表面品質を高めるポイントです。詳細はバイト選びのポイントも参考にしてください。

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